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愛知万博訪問記
#13 会場からみた景観 05/07/23 仕事終了と同時に、仕事モードから万博モードへスイッチ・オン。FM Lovearthを聞きながら、いつもの駐車場へと向かいます。今日も車の後ろには自転車、これですと駐車場から西ゲートまではあっというまに到着です。このパターンが一番楽ですね。 1、会場外からみた景観 今日はせっかく自転車で来たのですから、会場周辺を巡ってみました。まずは駐車場の裏(写真左)から。一見するとただの倉庫群にしか見えませんが、実はこれがコモン4の欧州館の背面なのです。大阪万博のときは、周辺域からも奇抜なパビリオンが展望できたのですが、愛知万博は会場外からの景観について、ほとんど考慮されていません。知らない人(いないとは思いますが)がみると、倉庫です。県道を北上すると、やがてグローバルループやアフリカ共同館(写真右)が目に入ってきて、やっと万博会場という雰囲気がしてきます。
ゲートへ向かう歩道を過ぎて、前熊東の交差点手前の景観が写真左。西ゲート北側のバス専用駐車場と観覧車が見えます。愛知万博では、「太陽の塔」や「エキスポタワー」のようなシンボル・タワーが存在しません。あえて言うなら、この大観覧車がランドマークということでしょうか。 次は、長久手線を東へと進みます。以前は、前熊東の立体交差点から東へ進み、また長久手線の高架に戻ることができたのですが、今は進入禁止。バスの駐車場を迂回しながら長久手線に出ました。この近辺は道路が整備されたのですが、このような昔ながらの風景もまだ残っています(写真右)。このまま北口へ向かうつもりでしたが、万博会場へ入る前に疲れてしまって、この辺で断念、来た道を戻って、西ゲートへと向かいました。
私がなぜ、このように頻繁に万博会場へ足を運んでいるのかというと、いくつかの理由が挙げられます。童心に返って楽しめるから。好奇心を満たしてくれるから。歩き回ってストレスの解消になるから。これらは、会場に足を運んでいる多くの人たちに共通していることでしょう。実は私には、もうひとつ別の理由があるのです。それは、会場区域の変遷をこの目で確かめていきたい、記録していきたいというものです、城郭遺跡を観察するときと、まったく同じ視点で。 城郭と万博の関連(やや強引ですが)については、章を改めて述べる予定です(エッセイ1-2)。城郭遺跡散策の面白さは、廃藩置県で無用の長物と化した城郭が、どのような変遷を経て現在のような状況に至ったかを知ることにあります。すなわち、城郭が、どのように官庁街・公園・市街地となり、”遺跡”化したのか、ということです。城郭が、街が、道が、文化が、ことばが、どのように変遷してきたのか、そしてどのように変遷していくのかいくのか。「変遷」が、私の諸活動における共通のテーマです。つまり、私からみれば方言研究も万博訪問も根っこは同じということになります。 愛知万博会場が、2ヶ月後には”遺跡”への道をたどることは、もう既に決定されていることです。大阪万博会場が現在の万博公園へと”遺跡”化したのと同様に。今回は、「日本で開催された最後の万博」(多分ね)の会場跡地が、どのように変遷し、”遺跡”化していくのか、リアルタイムに観察する絶好の機会です。そのためには、現状を記録し目に焼き付けておかなければなりません。毎回200枚近くの、会場内外の景観を写真に収めているのもそのためです。 |
2、にっぽん華座〜石見神楽 今日のパフォーマンスは、今までとはまったく趣を異にしています。日本の伝統芸能、それも島根県の「石見神楽」。初めて聞きます。このような機会でもなかったら、お目にかかることは、まずなかったのではないでしょうか。日常生活においても、日本の伝統芸能と触れ合う機会はあまりないですものね。 西ゲートから入場すると、いつもエレベーターで3階部分のグローバルループへ出てしまうのですが、今日は2階で降りて長久手日本館の方へ足を向けて見ました。こちらの方向から中心部へ入るのは初めて、なんか中心部でありながらこの周辺はエア・ポケットのようですね。そして初めて見た建物が、今日のパフォーマンスの会場「にっぽん華座」(写真左上)。日本館のイベントであり、「さまざまな日本の伝統芸能を、万博ならではのアレンジで展開することにより、日本文化を広く発信」するのがコンセプトのようです。 ちょうど開演間際、前のほうの席を確保することができました。司会の噺家、林家久蔵の登場で、会場の雰囲気はなごんだものになります。噺家さんを間近にみることはほとんどないのですが、さすがプロですね、観客の心を一瞬のうちにつかむというのは。今日の出演は「日本伝統芸能十八撰」のひとつ「有福神楽保持者会」。300年の歴史を持ち、欧米公演なども行っているとのこと。古事記に基づいた演目を祭りでは10時間近く掛けて演ずるのを、今日は30分の短縮バージョン。初めに代表のインタビューがあり、開演となりました。 1幕は「恵比寿さんの鯛釣り」(写真右上)。軽快な16ビート(といっていいのでしょうか)のリズムにのり、コミカルな場面が繰り広げられていきます。後から聞いたのですが、恵比寿さんを演じるのは小学校4年生の少年、後ろで鐘(カネ)を鳴らしている少年(左から2人目)は小学校6年生とのこと、驚きです。 1幕、2幕と穏やかだったバック音楽(お囃子というのでしょうか)が、3幕では突如、激しいビートに変わります。代表(右端)の打つ和太鼓がドライブし、それに軽快な笛が乗っかります。神楽というと、のどかなイメージがあったのですが、そのイメージとは大いに異なり、かなりのスピード感(四分音符で200位)。そしてそこに登場したのが8体のヤマタノオロチ(写真下)、豪華絢爛な衣装(?)にこの大きさ、それがとぐろを巻いたり互いに絡み合ったりとスピード感溢れるその演技はまさに圧巻、お客さんも大喜びです。4幕では、須佐之男命がヤマタノオロチを次々に退治、そして一件落着。
いや〜、楽しませていただきました。今回の万博では、瀬戸日本館の「群読」と並びすばらしいものでした。日本にもこのようなスピード感溢れる芸能があったとは、お恥ずかしいことにまったく知りませんでした。それと、もうひとつ感動したのは、役者のみなさんが(私たちのバンドと同じ)仕事を持つアマチュアということと、小学生の後継者が育っているということです。これからも地域文化を大切にし後世に残すとともに、世界各地で紹介し続けていただきたいものですね。小学生の彼らにとてもきっといい経験になることと思います。 同じ音楽をやるものとして(芸はできないですが)、感動をいただいたひと時でした。拍手。 |
〔追記〕 05/10/15 愛知万博の会場は、会場外からみるとちょっと味気ないものです。南・東側は森林ですので会場を展望することは不可。北側からは、大観覧車や展覧車などのランドマークだけが見られるだけです。それに対し、一番のビューポイントは、西ゲート付近の小高い丘陵にある民間駐車場。2度ほど利用したのですが、展覧車、大地の塔とグローバルループなど、私のお気に入りの建造物が一望できます。 この日以降も、会場周辺をあちこち走り回っては会場外からの風景を撮影しました。それにしても、このような習性というのは、城郭遺跡を観察するときとまったく変わりのないものだと、我ながら呆れているというか、関心しています。
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