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万博遺跡レポート 

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#16 アフリカ館の取り壊し 06/01/10
 

 しぶりに日差しの暖かい日となりました。会場跡へ向かう車の中も心地よいものです。でも、会場跡に到着したのは、日が傾きかけたころ。外の空気は相変わらず冷たいですね。そんななか、今日も”万博遺跡”を歩いてきました、というよりは這いずり回ってきました。


 アフリカ館とグローバルループ

 
を目的地に走らせる途中、道路から見える会場の変貌に思わず「アッ!」とか「オッ!」という驚きの声が出ることがよくあります。今日の第一声は、県道田籾線からみたアフリカ館の姿を見たとき。

 県道田籾線に対する愛着については何度も述べているとおりです(「訪問記」8「前熊東交差点」)。十数年前は、民家もコンビニもなく一面に畑や草むらが広がる「何もない所」。それが開幕後、久しぶり通った田籾線沿いにいきなりアフリカ館ですからね。本当に驚きました。しかし、アフリカ館の裏を通って何度となく会場へ通ううちに、この光景にも慣れてきましたし、それは、会期後も同様です。

 それが、今日はアフリカ館に防音シート。これが張られるということは、展覧車のときのように一気に取り壊しが進むということを意味しています。さらに、砂防公園の奥のフェンス越しにみると、東部分がかなり取り壊されているのが確認できました(写真上)。北側へ回るとご覧と通り、NEDOパビリオンの部分が取り外されていました(写真左下)。近くから観察できるパビリオンの中でも、最後までその姿を留めていたアフリカ館。これから毎週来るたびに、小さくなっていくんですね。

 
 2つ目の驚きはグローバルループ。南側半分残っていた部分もわずか6日で姿を消していました。よく見ると、残されたグローバルループの向こうに、コモン4の円形の標識(写真右下)。ここから向こう側のコモン3までが保存される部分に当たります。こちらは、公園公開後の再会が待ち遠しいものです。

 会期後も、グローバルループを毎週間近に眺めていたはずなのに、今日、グローバルループのない光景をみていても、なぜかこの風景がもう当たり前のように感じてしまいます。ここにグローバルループがあったなんて、どうも”幻”を見ていたかのようです。もっとも、万博そのものが”夢”のようなものだったわけですが。会場の風景も刻々と移り変わっていきます。




 西ターミナル


 西ターミナルは、盛り土の取り崩し・運搬の真っ最中。西ゲート付近からリニモ西公園駅までは、すべての施設が既に取り壊されています。万博前の姿に復元するために盛り土を取り崩している(写真下)ということは、当然のことですが、西ゲートを作るのに盛り土をしていたということになります。西ゲートの部分が一段高くなっていたのは自然の地形を利用したものではなく、盛り土をして高くしてあったんですね。会期中はまったく気がつきませんでした。

 テロ対策のため、万博会場が入場の際のチェックや会場周辺の警備が厳重だったことはよく知られていました。城郭ファンの私の目から見ると、言うなれば会場全体が一種の「砦」「城郭」みたいなものですね。そのように考えると、限られた入場口というのは自ずと不法侵入者に対し警備しやすい構造になるわけです。

 一段高く盛り土された部分に塀で囲まれた西ゲート、まるで土塁上の枡形門を彷彿とさせます。このような城郭ファンの視点から会場跡を観察するのも、なかなか楽しいものですね。「城郭と万博会場は共通点が多い」とは、城郭・万博ファンの私の感想ですが(「城郭と万博」参照)、ちょっと強引でしょうか。




 北ゲートエントランス


 前回よりもかなり短くなりました。こちらも取り壊しの真っ最中。床を剥がす音がちょっと離れた私のほうまで響いてきます(写真右上)。いつも定点観察している地点からもうすこし西に回ると写真下のようです。間違いなく今日が見納めでしょう。長い間、その優雅な姿を楽しませてくれました。


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