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万博遺跡レポート 

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#12 北エントランスの撤去 05/12/11
 

 久しぶりに家族4人がそろった昨晩のこと。
  私「明日は早朝から会場、行って来るでな」
  次女「え〜、万博もうやってないよ〜。万博、もうなくなったよ〜。」
  長女「ありえね〜」
  家内「早くから行って並ぶの? 徘徊して来るの?」
  私「こら、そんなこと分かっとるわい! 『なくなった』んじゃなくて、『なくなりつつある』の。わかった?」
 何回言っても「ロマン」が分からない、困った人たちです。

 そんなこんなで、今日の日曜日は朝早くからの万博遺跡訪問。午後から用事があるし、午前中は道路が空いているし、何よりも西日で写真が逆光になりません。最近は、どうしても遅い時間の訪問が多かったですからね。今日も、先々週と同様のフルコース。さらに、「万博公園〜公園西」間をリニモで移動、高架にある駅やリニモからも会場跡を観察しました。


 北エントランスの撤去

 木造の北エントランスは美しい曲線を描き、グローバルループとともに私のお気に入りでした。北ゲートから入場するとき、待機しているエリアを取り囲んでいたアーチ状の建築物です。企業パビリオンの撤去をよそに何とか手付かずだった北エントランスも、11月上旬から撤去が開始されました。

 最初は先端部分が、次は先端より西側が、そして先端中央部分から順次東端に向かって取り壊しが続いています。今日は北ゲート周辺の部分はほとんど撤去されていました。北ゲート前で長時間並びながら眺めていた北エントランスの中央部分もとうとう姿を消し、想い出の建物がまたひとつ、なくなろうとしています。リニモ万博会場駅から北ゲート付近を眺めると、なにもなく、会期中の様子を思い出すことも、だんだん困難になってきますね。
 会期中の写真と見比べてみてください。


会期中の北ゲート(中央よりやや東の部分) 
本日の同所。トヨタ館だけが残っている


 移動中のリニモからは、企業館跡地がサラ地になっているのがわかります。本日の展覧車、こんな状態です(写真左)。ちなみに、三菱未来館はまったくのサラ地です(写真右)。


今日の展覧車 三菱未来館跡


 グローバルループの撤去開始

 グローバルループも、企業館の撤去をよそに長く手付かずの状態でいました。グローバルループを会場外から観察できるポイントはいくつかありますが、真下から眺めることのできる砂防公園は一番のビューポイント。会期中も2回、会期後は毎回訪れています。目の前でカーブを描く巨大なブルーバルループを真下から見ることができる、お勧めのポイントです。

 今日で12回目の観察になりますが、今までほとんど変化もなく、それがまたうれしくもありました。前回から隣接するアフリカ館に足場が組まれだし、こちらも取り壊しがようやく始まったようです。そして、グローバルループ。砂防公園に入り、いつものように撮影していると。正面のグローバルループの一部が取り外されているのが確認できました。こちらも、とうとう取り壊しが始まったのですね。万博の想い出がまたひとつまたひとうと消えていくのも寂しいものですが、しっかりの記録に残しておきたいと思います。





#11 リングの失われた展覧車 05/12/05
 

 展覧車
 
 博ファンが集まるサイト「Enjoy愛知万博」。万博跡を散策しているとき、このサイトの常連さんと知り合い(この件については別稿で)、それ以来私も毎日チェックするようになりました。多くのスレッドがあるのですが、一番気にしているのが「今日の会場、ひとこと感想」。会場近くの常連さんたちが毎日の会場の移り変わりを報告してくれます。最近の一番の話題は、展覧車。外壁が撤去され、リングが撤去されゆく姿が刻一刻と報告されていきます。それによると、リングは3日の夕方に完全に撤去されたとのことです。

 会場跡地に近づくと、一番最初に目に飛び込んでくるのが「大観覧車」。次は、いつもだと赤い外壁の「展覧車」なのですが、今日は遠くからではその姿を確認できません。近づくと、先の報告通り、支柱が残されているだけで、それも撤去の真っ最中でした。次回は、他のパビリオン跡と同様、きっとサラ地になっていることでしょう。

 会期途中から、展覧車の写真をたくさん撮ってきました。会場を歩いていて、目に付いたら必ずシャッターを押していたものです。閉幕後も、会場跡に来ると必ずその姿をカメラに収めてきました。というよりは、「万博遺跡を歩こう」はそもそも、この展覧車がメインだったのです。会期中から今日に至るまで、何度も仰ぎ見てきた展覧車。その姿を目にするのも、今日はもう、最後かもしれませんね。

 北口周辺の企業パビリオンはほとんど撤去され、あとはトヨタグループ館だけとなりました。こちらはリサイクル率が高いので、丁寧に解体しているとのことです。北ゲートの回廊も西から解体が進んでいます。今まで残っていたEXPOホールの解体も始まりました。ガランとした会場跡、向こうには、これまで企業パビリオンに隠れていた「大地の塔」の姿がありました。
 

展覧車 大地の塔(右は展覧車)


 瀬戸会場

 ゲート周辺の企業パビリオンがほとんど撤去されてしまった現在、”旬”は瀬戸会場。ここでは「愛知県館」や「市民パビリオン」の撤去が開始されたばかりです。瀬戸は2週間に一度だけ、日曜日だけ足を運ぼうかと予定していたのですが、西ターミナル周辺の観察も終了(つまり、ほとんどの施設が撤去完了)してしまったので、こちらへも毎週通うことにしました。車だと、結構近いものです。

 前回はまだ工事が始まっていなかった市民パビリオン。階段が半分近くなくなっていました。西ゲートへ向かう回廊も、もう骨組みだけです。これは目が離せませんね。
 

市民パビリオン(西から)) 同(北から)



 万博遺跡散策の楽しさ

 場跡地を歩いていたり、今日の写真をみていると、季節の移ろいをつくづく感じます。会期中は緑に覆われていた会場も、もう紅葉のピークが過ぎてしましました。今日は1月の気温とか、会場跡を歩いていても本当、寒いものです。いつのまにか、もうすっかりと冬ですね。

  冬といえば、城郭散策。櫓を覆っていた木々や、石垣に絡み付いていた草が枯れる冬。城郭散策には最高の季節といいます。今日のように寒い中、カメラ片手にガート下の傾斜を下りたり、あちこち駆け巡っていると、まるで城郭の土塁を上り下りしているよう。まあ、どちらも”遺跡散策”という点では、同じかもしれませんけど。
 
 城郭遺跡を散策するとき、または会期中へ万博訪問するとき、行く前からワクワクする(した)ものです。それが、この”万博遺跡”巡りになると、この両方が楽しめます。さらに、毎回変化がみられ、「遺跡ファン」かつ「万博ファン」の私にはたまらないものです。どうも、日に日に「遺跡ファン」としての比率のほうが高まってくるようです。

 日々刻々と変化する様子を記録することは、一見何の意味もないように思われますが、個人的には重要なことだと考えています。130年前の城郭解体の記録写真をみていると、それぞれの城郭の変遷を知ることができますし、そのような写真も残してくれた先人には本当感謝します。

 何年か後に、「21世紀の初頭に愛知で開催された万博」なるものに興味を持ってくれた人が、この記録をみて少しでも楽しんでもらえたらと、ひそかに思っています、古写真をみて楽しんでいる現在の私のように。

夕日に映える「展覧車」の支柱と大観覧車

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