万博を歩こう・TOP > 万博遺跡レポート > 47

万博遺跡レポート

前へ 次へ


#47 大観覧車、再開 06/07/18 

 雨の砂防公園
 
 15日にオープンしたばかりの記念公園の前を通り過ぎると、北駐車場に数十台くらいでしょうか、乗用車が見えました。月曜日が祝日の翌日は閉園とパンフレットには記されていたのですが、オープンしたばかりということで、今日は開園したのでしょうか。その記念公園を横目に、いつもの砂防公園へと向かいました。

 今日は久しぶりの雨。今年になって、会場跡地訪問日に雨に降られるのは初めてのことです。閉幕後もグローバルループの姿を見ることができた駐車場前の池(写真左)も、今日はご覧のようにかなり濁った状態(写真右)。

 ちなみに、この公園、香流川上流地域の土砂採石場から流出する土砂が、土石流となって下流地域へ流出するのを防ぐために設けられたものです。したがって、濁った雨水を池で滞留させてろ過しているというのは、本来の機能を果たしている、ということなんですね。毎週、この砂防公園へ通うことによって、環境の学習も少しばかりしてしまいました。

昨年10月の砂防公園 本日の砂防公園


 大観覧車

 ひざから下がずぶ濡れになりながら、いつものスポットを撮影。でも、本日の撮影地点は数箇所のみ。西エントランス近辺の整備工事もかなり進んできたので、田籾線沿いから眺める会場跡地の風景も、劇的な変化がみられません。しかし、いままでと本日の大きな違いは、大観覧車が動いている、ということです。大観覧車が回っているのを見るのは、閉幕後初めてのことです。15日は営業時間を過ぎていたので、もう止まっていたのです(写真右)。

 大観覧車といえば、愛知万博のランドマーク。会期中も閉幕後も、会場(跡地)へ向かうときも去るときも、いつも目にしてきました。万博開幕前は、観覧車なんて「子供の遊具」くらいにしか思っていませんでした。初めて乗るときも、「いい大人が一人で」と、ちょっと気恥ずかしい思いをしたものです。でも、これ、なかなかのすぐれものです。

 いつも城郭との比較になってしまうんですが、城郭観察の定石のひとつが、高所から城郭を観察するというもの。城郭の周辺に高いビルがあると、必ず屋上に上がって城郭全体を一望するようにしています。そうすることによって、この目で実際に縄張りを確認できるからです。また、天守閣に登ることによって、内部からも縄張りを確認することができます。

 万博会場でその役割を担っていたのが、大観覧車と展覧車。違った視点から会場内を展望することができ、会場の全景を堪能することができました。飛行機から会場の様子を撮影した画像をよく目にしますが、そんな機会など皆無の一般来場者には、本当に会場観察のいい機会でした。

万博会期中の大観覧車 記念公園の大観覧車(06/07/15)

 
 会場観察の帰途、田籾線を通ると、大観覧車の乗車口付近に電気が灯っているのが見えました。次回の記念公園訪問時には、会場跡地の様子をこの目で展望できることを、楽しみにしています。
 
県道田籾線から見た大観覧車


 『虚飾の愛知万博』の「愛知万博性悪説」

 ところで、「愛知万博性悪説」を説く、前田栄作の万博批判書『虚飾の愛知万博』(光文社、2005)。多様な視点から愛知万博を検証していて、ある意味興味深いのですが、あまりにも「性悪説」に走りすぎている嫌いがあり、ところどころに「?」が付く箇所も見受けられます。その一つが、この大観覧車についての問題。
 
 名古屋周辺で8つ、万博関係だけで3つもの観覧車が作られたということは、余りにも貧しい発想しかなかったということにならないだろうか? つまり、観覧車なら人が呼べる。イベントには観覧車が必要という程度の発想しか、万博関係者にはなかったということになる。そうでなければ、観覧車の過当競争地区に、さらに観覧車を作るなどという馬鹿げたことはしないだろう。

 「遊園地に観覧車」という発想が「貧しい発想」というのは、ある意味、的を射ているかもしれません。しかし、名古屋周辺に8つあるということと、万博会場に作られたということとは、別の問題だと思います。モンキーパークや長島スパーランドの観覧車から、愛知万博の会場内を見渡すことなど、できないはずです。

 ところで、この著者、その後、愛知万博をどのように総括しているのでしょうか、ちょっと興味がありますね。

前へ 次へ