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万博遺跡レポート
#86 移りゆく記念公園 08/09/10 季節もすっかりと秋めいてきました。今年は雨が多く、澄み切った青空とは行きませんが、うろこ雲がちらほらと目に付くようになった空を眺め、ツクツクボウシの鳴き声に包まれながら公園内を散策していると、閉幕間近の万博会場を歩き回っていた3年前の今頃を、ついつい思い出してしまいますね〜。この季節になると閉幕間近の頃を思い出す万博ファンが、(私の周辺では)どうも少なくないようです。 万博閉幕後から3年近く、会場跡地周辺、そして記念公園内を定点撮影してきました。万博会場が取り壊され、それに代わって記念公園が整備され、工事エリアの移動にしたがって定点撮影地点も変わってきました。今回は、工事終了に伴い定点撮影を終えるエリアと、それに代わり新しく始まった工事エリアのまとめです。 1、工事が終了したエリア 最近の散策コースは、次のよう。 北口周辺 → 散策の森 → 風のエリア → 西口周辺 → 県道田籾線 → ハルセミの丘 最初の北口周辺は後で述べるとして、以下の地点での定点撮影は、工事がほぼ終了したということで今回で一旦終了の予定です。では、順に現況の報告から。 (1)花の広場 [コモン6] 記念公園が開園してから毎月欠かさずに定点撮影をしてきたのが、「散策の森」から眺めた光景(こちら参照)。[コモン6]を始め、[日本広場]や[コモン3]が一望でき、絶好のビューポイントです。 「散策の森」のことを知ったのは、実は万博の閉幕日。それまで一度も足を運んだことがなかった脇道に入ってみたら、それがこの「散策の森」だったんです(こちら2段目)。万博最後の日の光景をここから眺めながら思ったのは、ここが閉幕後の定点撮影の絶好の場所だということ。 そして、開園後から2年近く、移りゆく公園の風景をわくわくしながら眺めてきました。4月に[コモン6]も「花の広場」に生まれ変わり、日が経つにつれて緑も増えてきました。毎月の定点撮影は終了しますが、今後も、半年に1度ではありますが、緑に包まれていく「花の広場」を見守っていきたいと思っています。 (2)風のエリア [風の広場] 「散策の森」から抜けると、眼下に「水のエリア」が広がっていて、夏は家族連れで大賑わい。夏はあまり家族連れも近寄らない「風のエリア」も、涼しくなるとまた賑わうことでしょう。 「風のエリア」のモニュメントからは、[IMTS車庫]、[コモン3]や[コモン6]が展望できます(こちら参照)。今年に入ってから、目の前でサイクリングロードの橋脚の工事が始まり、ここからの風景も一変しました。サイクリングロードが完成した時には、またこの地点から定点撮影をしてみたいですね。 (3)西口周辺・県道田籾線 西口休憩所で休憩後、西口から公園を出て県道田籾線へ。サイクリングロードの工事と併せて行われていた西口外側、公園の外壁というか”土塁”の工事も終了(こちら参照)。これで、閉幕より3年間続いてきた、公園西口周辺の整備工事も完了のようです。 現在は公園を一旦外に出てから、西口の定点撮影を行っています。この辺りは万博閉幕直後から毎週ウロウロしていた懐かしいエリアです。工事関係者の方たちに迷惑そうな顔をされながらも、取り壊されていく西エントランスやグローバルループを撮影に、毎週通ったものです。 それと、併せて行ってきた県道田籾線からの定点撮影。しかし、この時期の難点は「緑」。会期中は手入れが行き届いていて、県道田籾線から会場の様子が観察できたのに、最近は夏になると草木が伸び放題、緑にさえぎられて公園方面がまったく見えなくなってしまいます。 そんな中、唯一続けてきたのが高台からの撮影(こちら参照)。会期中から数えて64回。タイトルは「展覧車と『大地の塔』」となっていますが、現在は、風のエリアのモニュメント、円形レストラン、水道塔、温水プール[グローバルハウス]が残るのみ。西口周辺の工事が完了したことで、この光景が、「記念公園西側の顔」ってことになりそうです。 (4)砂防公園 砂防公園からの定点撮影は半年に一度くらい。ここからの景色は最近ほとんど変化がなく、あまり意味がないのですが、たまにふらっと寄ってしまいます。緑に囲まれ、季節の移ろいを感じるにはいい場所ですね。今日は、ツクツクボウシを見つけました。 アフリカ共同館のあった[コモン5]の南側へ久々に行ってみました。 左列は閉幕半年後の様子。アフリカ館が取り壊され、整地されてすぐの画像です。まだまだ、グローバルループや西エントランス、コモン4の尖塔が残っていますね。現在はそれらもなく、右側には新しく設けられた西口が見えますね(写真右)。今も変わらないのが、大観覧車、風のエリアのモニュメント。[東ゲート]近くの水道塔とともに、定点撮影をする際の格好のランドマークでした。 ところで、この[コモン5]の空き地、現在は記念公園の敷地外になっていて、混雑時に臨時駐車場として利用されているだけ。この後、どうなっていくんでしょうか?
(5)ハルセミの丘 県道田籾線沿いを散策してから公園内へ戻り、次は「ハルセミの丘」へ(こちら)。07年3月の第二期オープン時に見つけたビューポイントです。「こいの池」の他、まだまだ工事が続く[日本広場]、[コモン6]、[大花壇]などが眼下に拡がります。 改めて思うのですが、記念公園は高低差が大きく、移動はちょっと大変ですが、広場を丘陵が囲んでいて、「展望台」には恵まれていますね。どの地点も、定点撮影をするには絶好の場所でした。 これらのエリアでの月1定点撮影は、前述したように、今回で終了。ただ、整備工事が終了している一部のエリアと同じく、半年あるいは1年に一度は訪れ、緑に覆われていく記念公園を今後も記録していきたいと思っています。 2、工事が開始したエリア 今年度に入り、上記のエリアでの整備工事が終了したのに伴い、新しいエリアでの工事が何箇所かで開始されました。 (1)[企業パビリオンゾーンB]〜北側から その中でも一番大規模なのが、[企業パビリオンゾーンB]で開始された、記念公園の中核施設「地球市民交流センター」の工事。「サツキとメイの家」行きのバス亭が撤去され、周囲の樹木が撤去されたのが、先月の様子。今日、ひと月ぶりに訪問すると、工事エリアには多くの重機やダンプが確認でき、本格的な工事が始まっていました。 同エリアの北側、リニモ高架下からの定点撮影を開始したのは閉幕後1ケ月半後。北ゲートやトヨタグループ館などが展望でき、なかなかいい場所が見つけられたと喜んでいたものです。これらの施設の取り壊し工事は半年で終了、以後何度か訪れてはいますが、ずっと放置状態。それが今月、このエリアでもやっと工事が開始。 写真左は、瀬戸行きのゴンドラ駅やトヨタグループ館のあった辺り。青少年公園時代と同じく、この場所にはテニスコートが整備される予定とか。当エリアの変遷の様子は、「コモン1・2」で報告の予定です。 写真左は、北ゲートのあった場所。北ゲートが取り壊されて以降も、その土台はそのままの状態で残されていましたが、その”遺構”も取り崩しが始まったようです。完成予想図(ここの2段目)をみると、この辺りはテニスコートの北側に当たり、通路とテニスコートの間の「緑の緩和帯」になるようですね。報告は、「北ゲート・回廊」で。 「千年の森」のしたに位置していた広場も工事が開始され、広場と企業Zの間にみられた段差が取り除かれているように見えます。こちらの報告は「千年の森」で。 (2)[企業パビリオンゾーンB]〜西側から 場所を工事エリアの西側、つまり、公園北口へ移動。ロータリー付近から東方向を眺めたのが写真左。万博会場の取り壊し工事が終了後、[北エントランス]の外側に沿うよう”土塁”のような土盛りが築かれとても不思議に思ったものです(#20参照)。答えは、記念公園整備のために保管されていた土砂だったようで。 2年半の長い間、放置されてきた”土塁”も、取り壊され、工事エリア一面に土ぼこりが舞っています(写真右)。このエリアがどのように変わって行くのか、毎月の観察が楽しみです。北口ロータリーや総合案内所からの定点撮影を開始したほか、リニモからの撮影も再開予定です。 (3)フレンドシップ広場 会期中、「北エントランス」と「愛・地球博広場」の間の傾斜部分に設けられていたのが、「FMラヴァース」やレストラン(こちら)。この辺りは開園後も立ち入り禁止。傾斜部分の一部にEV棟が建てられ、地形も少し改変されたので、会期中の写真を見ても、それが現在のどこなのか、いまいち分からないエリアでもあります。 ここも今年度から工事開始、写真右のような完成予想図が表示されていました。予想図をみると、グローバルループのあった上段から、ラヴァースのあった中段を経て、広場の高さの下段へ降りる通路が設けられるようです。写真左にある2本の木は、ラヴァースの東側にあったもの(こちら)。そして予想図では、中段の広場に見られるものだと思われます。公園完成の折は、この2本の木を中心に、定点撮影をしたいものです。 10日の工事エリア観察は、ここで終了。以下は、21日訪問時に撮影したものですが、ここで続けて紹介することにします。 (4)あいちアートスクエア 長久手愛知県館跡地には、「あいちアートスクエア」が整備される予定。開園後は、西口休憩場の駐車場として利用されていたのが、今年3月に閉鎖。工事が始まるかと思いきや、工事は中断されたまま。それが、やっと再開されたようです。
(5)[コモン4]、南駐車場 いつもの定点撮影場所を散策するので精一杯で、なかなか手の回らなかった[コモン4]の定点撮影。メル友Kさんから、[コモン4]の工事が始まったとは聞いていたのですが、なかなか行けずにいました。グローバルループを渡って、久々に見る[コモン4]。定点撮影は、こちら。 奥のエリアでは「野球場」の整備が進んでいます。かさ上げされ、ネットを張るための支柱が立てられていました。手前は「南駐車場」になる予定。 このエリアで唯一残っている「万博遺跡」は、グローバルループと入り口左側に残る木の床のみ(写真左)。視線を少し右側に移したのが写真右。会期中の画像の中で、このアングルに一番近いものはこちらでしょうか。この向こう側にコーカサス共同館が位置していたんですね〜。 [コモン4]は、[コモン3]のように「尖塔」(>照明塔」)が残されているわけでもなく、[コモン6]のように「円形レストラン」が残されているわけでもなく、[企業パビリオンゾーンB]と同じく、会期中の面影がないエリアとなってしまいました。 今年度に工事が開始されたエリアをまとめると、次の表のようです。今年の4月と同じく、来年の春にはいくつかのエリアが新たに開放されるかもしれませんね。半年後を楽しみにしたがら、次回からはこれらのエリアの定点撮影を始めていきたいと思っています。
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