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万博遺跡レポート 

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#44 「何もない」西ゲート 06/07/04 

 北ゲート跡地は、記念公園の正門と北駐車場として生まれ変わり、あとは多くの万博ファンの再訪を待つだけとなっています。一方、西ゲート跡地はもう忘れ去られた感がありますが、現在も整備が進行中。今日は、その西ゲート周辺の報告を。


 西ゲート

 西
エントランス撤去のため、5月初旬に登場した巨大クレーン。この2ヶ月間、巨大クレーンが西エントランスやその基礎部分を取り外している様子を見てきましたが、先週やっとその工事も完了したようです。西エントランス跡地の西側から見渡すと、ほとんどの構造物も巨大クレーンも撤去されて、万博遺跡ファン以外の(たぶん世間一般のほとんどの)人たちがいうところの、「何もないところ」となってしまいました(写真上)。

 右端の尖塔のある高台は、フランス館跡地。真ん中辺りの青いシートのある箇所は、IMTS駅跡地。ちょっと見にくいですが、左端には旧・迎賓館が確認できます。そしてグローバルループに隠れて今まで見えなかったのですが、青いシートの上辺りに白い建物が確認できるようになりました。拡大すると写真左下のようです。方向からすると、中部千年共生村でしょうか。ここからだとよくわかりませんが、記念公園がオープンしたら、日本庭園からしっかりと確認できるかもしれませんね。

 して、前回紹介した、「遊びと参加ゾーン」の「水の広場・風の広場」。閉幕後、ずっと遊具を包んでいたシートが取り外されていました(写真右下)。15日のオープンに向けて、このエリアの準備も着々と進んでいるようです。

西ゲート跡地
水の広場・風の広場


 遺跡外縁部

 然ですが、ここで問題です。下の2枚の写真をご覧になって、どのような感想を持たれるでしょうか。@は田畑がひろがる、のどかな風景。Aは遊歩道ですね。両者とも、どこにでもあるような風景、世間一般には「何もないところ」ということになるのでしょうか。

@ A


 かし、@Aはこれでもれっきとした城郭遺跡なのです。@は挙母城(豊田市)の外堀跡。Aは桑名城の総堀跡。どちらも右側が旧城内、左側が旧城外に当ります。挙母城外堀は空堀であった可能性が指摘されていますが、桑名城総堀は、水を湛える水堀でした。桑名城の総堀の多くは今や埋め立てられ、一部を除いてこのように遊歩道として残されています。

 これをもって、「何もないところ」とするかどうかは、見る人の価値観によります。多くの城郭遺跡では、中核部の「本丸・二の丸」は城郭公園に、「三の丸」は官庁街に、そして外縁の外堀・総堀は埋め立てられてしまい、その痕跡すら残していないところも少なくありません。そう考えると、これだけの遺構を残している城郭遺跡は(城郭ファンには)極めて貴重なものです。破壊され、街の中に埋もれ、世の中から忘れ去られている城郭外縁部の歴史に、深い興味・愛着を覚えずにはいられません。

 これは、万博遺跡についても同様です。中核部が「記念公園」として残されるのは城郭公園と同様です。しかも、外縁部が跡形もなく取り壊され、田畑となっているのも、これまた城郭遺跡と変わりがありません。万博遺跡の外縁部「西エントランス」「西ゲート」周辺に愛着があるのも、頻繁に利用していたということもありますが、城郭の場合と同様、ついつい興味が向いてしまうんですね。

 西ゲート跡地も、「何もないところ」となってしまいましたが、この辺りのオープンは来年3月の第二期。これからの半年間、ここがどのように整備されていくのか、これからもじっくりと観察を続けていきたいと思っています。

 
 再び夏を迎えた砂防公園

 さて、さて。会場跡地を散策して、駐車場のある砂防公園に戻ってみると、公園内からセミの声が聞こえてきました。夏の訪れを告げるニイニイゼミです。声のする方を探すと、いました、いました。さっそく近づいて、撮影。小学生の夏休みはセミ採りに明け暮れていたせいか、セミの声を聞くと小学生の頃に戻ってしまいますね。ちなみニイニイゼミの次は、「アブラゼミ→クマゼミ→ミンミンゼミ」と続きます。お盆明けには「ツクツクボウシ」が登場して、まもなく夏休みが終わる(宿題を片付けないといけない)ことを告げます。

 思えば、砂防公園に初めて足を踏み入れたのも、梅雨のこの時期でした。この1年間、砂防公園の季節の移ろいを眺めてきましたが、砂防公園から眺める会場風景も大きく変わってきました。アフリカ館が消え、グローバルループが消え、外国館が消え、尖塔の姿が変わり。時の移ろいの速さに驚いているうちに まもなく梅雨明けです。今度は、緑に囲まれた記念公園の中を散策しながら、汗をかきかき歩き回った万博会場の面影を探してみることにしましょう。

本日〜ニイニイゼミ
  
05/12/15
  
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