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愛知万博訪問記

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 #15 ナイト・パレード 05/07/60

 仕事終了後、今日もワゴンに自転車を積み込み、FMを聞きながらいつもの駐車場へとまっしぐら。休日前の午後の万博訪問、もうすっかり生活の一部になってしまいました。


 1、赤十字・赤新月館

 万博会場のパビリオン・施設はほとんど訪れたのですが、いまだ訪れていない人気パビリオンのひとつが、赤十字・赤新月館(以下、赤十字館と略、写真左)。いつ来ても長蛇の列、他の人気パビリオンの列が短くなる20時過ぎには、もう受付終了。娘も赤十字館だけは行ってみたいといっていましたし、口コミで人気が広がっているという話も耳にしています。今日も暑い中、80分待ちの表示。意を決してその列に加わることにしました。

 赤十字館のテーマは「人間愛が地球を救う」。「『地球で生きている人間と戦争、自然災害、疾病の脅威』をクローズアップし、その中で人の命と尊厳を守る人々と赤十字の姿を伝え」るのが、コンセプトとされています。赤十字の歴史や活動をパネルで見学したのち、メインのシアターへ。ミスターチルドレンの「タガタメ」をバックに、寝転びながら7分間の映像を鑑賞します。

 映像には、飢餓・地雷の被害に苦しむアフリカ大陸の子供たちがクローズアップされます。いわゆる「南北問題」や地雷の被害については、いままで再三、新聞やテレビで特集されてきました。特に考えさせられるのは、なぜこのような事態に陥ったかということです。
 ・誰が、奴隷貿易や植民地化によって、アフリカ社会を根底から破壊したのか?
 ・誰が、民族分布を無視した国境線を決定したのか?
 ・誰が、植民地時代の分割統治や冷戦下の代理戦争において民族対立を煽ったのか?
 ・誰が、地雷を製造し、輸出し続けるのか?
現在・未来が重要なのはいうまでもありませんが、過去を知ることもこの問題を理解する上で重要なのではないでしょうか。


 像を見たあとは、感想を綴ったメッセージカードが壁一面に貼られているホールへ。「飢餓や戦争に苦しむ彼らに比べて、私たちはいかに平和・幸せなのだろう」という独善的なメッセージが多く見られるなかにも、真摯に彼らの平和を願うもの、自分に何ができるのだろうというメッセージもみられました。

 「世界にこのような状況のところがあるとは知りませんでした」という子供たちにとっては、赤十字館のメッセージは十分伝わったのではないでしょうか。ただ、26歳にもなる大のオトナが同様のことを述べているのには、「ええ歳からげて、少しくらいは新聞やニュースを見んかい!」と、少々憤慨してしまいました。

 
 のような飢餓・地雷の問題に真剣に立ち向かっているのが、地球市民村で活動されるNPOのみなさんです。私も2度ほど訪れたのですが、ボランティアでこのような困難な問題に立ち向かう彼らには、本当に頭の下がる思いがします。彼らの説明にもついつい真剣に聞き入ってしまいます。平和問題に関心を持たれた方、赤十字館だけでなく、地球市民村も訪れて、さらに認識を深められることをお勧めします。


赤十字館


 2、ポーランド館

 もうひとつ、今日初めて訪れた外国館がポーランド館(写真左)。訪問が遅れた理由は、もう入ったものと勘違いしていただけ。メインは、ホールいっぱいに広がる180度のワイドスクリーンに、ポーランドの風景が映し出されるという、観光誘致目的のもの。コンセプトやワイドスクリーンを用いる手法は、ベルギー館とまったく同じです。

 ベルギーとポーランド。離れているにもかかわらず、まったく同じ印象を持ちました。古い町並みが残る重厚な都市。広大な緑の平原。そして、私の目をくぎ付けにしたのが、河川のほとりの小高い丘にぽつんと建つ古城(日本でいうと犬山城のイメージですね)。ベルギーの古城といい、ポーランドの古城といいすばらしいことといったら。

 欧州の城も15C以降、城塞としてではなく、王侯の権威を誇示する宮殿へと変化しています。日本においても、信長の安土城以降、次第に大名家の権威を誇示するものへと変化してきたのと軌を一にしています。私は、日本の城郭では後者に関心がありますが、欧州の城郭では宮殿より、断然、素朴な古城が好きですね(一回、行ってみてぇもんやうぇ)。


 ポーランド館のホールの下には、なんと、14世紀にさかのぼる世界最大、最古の最も有名な岩塩坑の一部分が再現されています(写真右)。出口では、ポーランド産の岩塩を試食することもできます。テーマが「塩」というパビリオンは、他にもクロアチア館がありましたが、こちらは塩田。塩が古来より、いかに人間の生活に欠かせないものであるのか、よく理解することができます。ちなみに、近所(名古屋市南区)にも塩付通りという地名がみられるのですが、塩が重要なのは、古今東西を問わないものなのですね。


ポーランド館 復元された岩塩抗




 3、エキスポ・オールスターズ・パレード

 夏休みの夜の万博を彩るエキスポ・オールスターズ・パレードが昨日、29日より開始されました。「遊びと参加ゾーン」のルミナリエと並んで、夜間の来場者を動員する目玉のひとつとして話題になっていました。好奇心旺盛というか、野次馬根性丸出しの私もちょっとのぞいて見ることにしました。

 パレードはグローバルコモン4を20時半にスタート。西ゲート前を通って北ゲートまで、右回りにグローバル・ループを半周するというものです。30分前になると、GL上には場所を確保するために座り込んだ人でにいっぱい、まるで名古屋祭りの場所取りのよう(写真左上)。この時点で、帰途に着く人と場所取りをしている人で身動きもできない状態。空いている場所を探してみたのですが、逆行してくる人とすれ違うこともできず、適当に空いている空間に入り込みました。

 まもなく、万博のテーマ音楽とともに電飾パレードがこちらに向かってきました。電飾自転車を先頭に、モリゾーや色とりどりのキッコロを乗せた電飾オープンカー(写真右上)、それに万博の人気者たちが続きます。185パフォーマンス・サーキットに、トヨタ館の1人乗り電気自動車、最後は各パビリオンのアテンダントを乗せたグローバルトラム。長久手愛知県館の「博士」を始め、皆、観客から声援を受け大変な人気(写真中・下)。パレードは西口付近では短いショーを行い、さらに北口へと向かっていきました。


GLでの場所取り
電飾グローバルトラム
各パビリオンアテンダントのみなさん
モリゾーとカラー・キッコロ
カラー・キッコロ 観客


 さて、これからが大変。GLの上は今まで見たこともないような人の波。パレードを見学し終えて西口に向かう人でごったがえし、反対方向へ向かう人は押し戻される始末。西口へ向かう階段付近は人があふれて、多くのガードマンが出て規制に当たっています。出口へ向かう人込みが一段落してから、やっと私も出口へ向かうことができました。

 翌日の新聞をみると、ふたりのけが人が出てパレードは当分の間中止されるとのこと。いや〜、たしかに凄まじい人でしたね。万博へは十数回来ていますが、初めてみる人の大波。確かに怖いものがありますね。でも、小さな子供さんが、モリゾーやキッコロを見て、無邪気に喜んでいる様子が大変印象的でした(我が家でも昔は、あんなんやったんやけどなぁ)。

 夜のパレード、はやく再開されるといいですね。

 



〔追記〕
 05/10/17

 このパレード、万博の数あるイベントの中でも、かなりの人気でした。老若男女、みんながこれだけ盛り上がった企画は他にはあまり例がなかったのではないでしょうか。さすが、モリコロです。しかし、この日以降、このパレードは数回開催されただけで、後にパレード2として場所を変更して開催されています。そう考えると、”貴重なもの”を見せていただけた、というわけですね。

 このときのグローバルループ上の人ごみは、それまで見た中でも最高の密度。でもこの日の入場者数はわずか10万人。9月の連日20万人と比較すると、まだかなり空いていた方です。これ以降は、入場者数がどんどん増加していき、この日のような混雑が当たり前になっていくんですね。


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