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万 博 考
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#09 愛知万博、閉・開幕記念イベントの変遷 06/10/26 愛知万博が閉幕してはや4年。万博も随分と過去のものになってしまったように感じます。そんな中、万博ファンを今も万博会期中の熱気に誘ってくれるのが、記念イベント。特に、開幕記念の3月、閉幕記念の9月は、大規模な記念イベントが継続して開催されています。ここでは、この4年間のイベントを1年ごとに振り返っていきたいと思います。 記念イベントの名称、主催・共催・後援などを記すと本ページ下の表1のようです。なお、応募による参加イベントは除外することにします(一度も応募したことがないので)。 1.閉幕後1年(06年) 開幕イベントは、各自治体が主催して大々的に行われました。万博会場跡地が取り壊し工事中ということもあり、場所は地元の施設において。閉幕後、初のビッグイベントということもあり、どこの会場も会期中を彷彿とさせる人込み・熱気でした。 6月には、博覧会協会による、閉幕後初のイベントが久屋大通り公園で開催。市民プロジェクトの展示、ステージ、ワークショップなどが行われました。大規模なセットが組まれ、盛況でした。 閉幕イベントは、博覧会協会が主催・共催するイベントが、名古屋中心街と、開園直後の愛・地球博記念公園とで開催。特に、閉幕後、初めてライトアップされた大観覧車の下でのイベントは、印象的でした。 博覧会協会もまだ存続していたし、各自治体・マスコミも積極的に参画、多くの来場者を向かえ、万博ファンには満足の行くイベントばかりでした。
2、閉幕後2年(07年) 博覧会協会が解散、継承団体が地球産業文化研究所に決定。初の主催イベントが、8月の市民交流大フェスタ。博覧会解散後の記念イベントがどうなるのか、ちょっと不安に思っていた一万博ファンとしては、うれしいイベントでした。 開幕イベントは、マスコミ主催のウォークラリー。第2期オープン直後の記念公園を、各地点でスタンプを集めながら巡るという企画。会期中のワールドスタンプパスポートと似た、スタンプBOOKを利用してのスタンプラリーは、会期中にスタンプ収集癖がついた万博ファンを夢中にさせた企画だったといえます。ちなみに、当イベント以降、スタンプラリーは記念イベントの定番となっています。 閉幕イベント。またまた大観覧車の下で開催された夜祭りが、大好評。愛知県主催ではありますが、企画・運営をされたのが「万博村の会」。会期中と引けを取らない賑わいで、夜間に開催された記念イベントととしては、後にも先にも「最高の盛り上がり」だったと言えます。 ただ、残念なことに、警備の面を危惧した主催者側が、この年を持って大観覧車の下でのイベントから撤退、メイン会場を大芝生広場へ移すことになります。多くの万博ファンが、夜の万博を思い起こさせてくれるこのイベントの継続を願っていただけに、残念な結果になりました。
3、閉幕後3年(08年) 東海テレビが、開局50周年を記念して、名古屋市栄のオアシス21で、開幕3周年記念事業を開催。メ〜テレや中部日本放送(CBC)など、地元名古屋の放送局に続き、東海テレビも万博記念イベントを開催することになりました。ただ、「生物多様性条約第10回締約国会議」(COP10)を名古屋に誘致しようとする動きがあるなか、展示も環境問題に主眼が置かれ、万博色が薄くなったたとの印象を受けました。 COP10を誘致する名古屋市は、このイベントを最後に万博関連の記念イベントから撤退。万博から、COP10に舵を切ったイベントと位置づけることができるでしょう。そして、記念公園の外で開催される大規模な記念イベントは、これが最後となってしまいました。
記念公園では、開幕イベント「春まつり」が開催。これより開幕イベントは「春まつり」、閉幕イベントは「秋まつり」として定着していくことになります。イベント担当はCBC、大芝生広場に大規模なステージが組まれ、「天才クイズ」やコンサートが行われました。大芝生広場におけるイベントとしては、閉幕後、最高の賑わいがみられました。なお、中日新聞社が当イベントを後援していましたが、これを最後に地元マスコミが万博記念イベントを主催・後援することはなくなっています。 閉幕イベントは、初の「秋まつり」。記念イベントのメイン会場が大芝生広場に移動、天候の影響もありますが、人出も多くなく、ちょっと盛り上がりに欠けるイベントでした。「万博村の会」を主体とした「モリコロパーク夜まつり2008実行委員会」は、大観覧車下や児童記念会館で自主イベントを開催。大観覧車下のイベントについては、主催者側から多くの制約があったと聞いていますが、昨年の「夜まつり」の賑わいがもう再現されることはないというのは、ただただ残念です。
4、閉幕後4年(09年) 開幕4周年記念事業として特別開催されたのが、日本万国博覧会記念機構(大阪)の協力による「愛知・大阪 二大万博と日本の博覧会展」。愛・地球博記念館で開催の「エキスポのエキスポ」(博覧会国際事務局主催)と並行して、長久手町文化の家で夏休みの期間中開催されました。万博4周年記念と冠したのは、実は当イベントだけ。本年から「春まつり」や「秋まつり」は、「博覧会開幕記念イベント」とだけ称され、開・閉幕から何周年からは明記されなくなっています。 開幕イベントは、今年もCBCがイベント担当。夏川りみが来園するということもあり、昨年とは比較にならないほどの多数の来場者。写真からもわかるように、会期中の広場の賑わいと変わらない程でした。(私の周囲の)多くの万博ファンが涙した、とても盛り上がったイベントとなりました。
対照的に、閉幕イベントはステージも組まれることもなく、NPOの展示や外国料理の屋台が並ぶだけの、こじんまりとしたものとなっていました。閉幕1周年から関わってきた長久手町観光交流推進会議が後援から外れたこと、協賛企業が7社から2社に減少するなど、変化がみられますが、後者は不況の影響といえるかもしれません。まあ、このご時世ですから、仕方がないことなのでしょう。 当イベントの新しい点として、企画・運営に公園マネジメント会議が初参加している点。公園の運営を行政から民間へと移行させるなかで発足した団体と聞いています。前回の「秋まつり」と(縮小された点以外)大きな差異は感じられなかったのですが、当会議が今後どのような運営をされるのか、楽しみです。 なお、「秋まつり」に続くイベントとして、次の2件が予定されています。 1)COP10開催1年前記念行事 生物多様性フェスティバル(10/10〜11) COP10支援実行委員会の主催による記念イベント。藤井フミヤなどによるコンサート、マリ・クリスティーヌによるトークイベント、モリコロと一緒に環境について考えるクイズなど、特設ステージでは多くのイベントが開催されるようです。愛知県・名古屋市など、行政では、愛知万博に次ぐ国際イベントとして位置づけられているようです。行政も、万博からCOP10開催へ、重点を移した結果といえるでしょう。 2)国際交流〜ハロウィンイベント(10/31) 「万博村の会」(代表:柴田麻美(へーほー)さん)企画・運営よるイベント。主催は、記念公園を管理する愛知県都市整備協会と、「万博村の会」。当会は、万博会期中の賑わいを取り戻し、記念公園を活性化させていきたいと、万博ファンの視点から精力的に活動されています。あの賑わいを、ハロウィンイベントを通じて復活させようというのが今回の企画。詳細は代表のブログに発表されていますが、仮装コンテスト、留学生との交流、外国料理屋台、ステージなどなど、盛りだくさんの内容となっています。 万博関連イベントが、このような環境イベント・国際交流イベントに分化・分散しつつあり、万博色を前面に打ち出す記念イベントも、閉幕4年を迎えるにあたり、曲がり角に来ているようです。 5、まとめ 閉幕後4年の記念イベントをざっと簡単に振り返ってみました。博覧会協会の解散、行政・マスコミ・企業の、記念イベントからの撤退。関心が万博からCOP10へと移行したり、経済状況が厳しさを増し協賛企業の減少など、万博ファンには寂しい状況になりつつあります。 ただ、歳月が経過しようとも、万博のあの熱気だけはなかなか記憶の彼方に消え去ってはいかないようです。イベントに集まる多くの万博ファン、現在も人気のモリコロ。また、万博の名を冠した幾つかの団体が、現在も活動を継続しているようです。 今後の万博関係イベントがどうなっていくのか。公園マネジメント会議だけでなく、「万博村の会」を初めとしたこのような諸団体が、その鍵を握っているんではないかとの印象を持ちました。 来年は、万博開・閉幕5周年と区切りがいい年、それに愛・地球博記念公園の完成、さらには上海万博の開催と、万博ファンには待ち遠しい年となりそうです。どのような記念イベントが開催されるのか、これからも楽しみですね。 |
表1 開・閉幕イベントの変遷 | ||||||
年 | 月 | 周年 | 名称 | 主催 | 共催・後援 | 協力・協賛 |
06 | 3 | 開幕1周年 | 県民の集い | 愛知県 | 東海テレビ放送 中日新聞社 |
積水ハウス |
記念イベント | 名古屋市 | 名古屋市交通局 旅まつり名古屋実行委員会 名古屋都市整備公社 |
・・・ | |||
記念イベント | せと・まるっとミュージアム 推進会議 瀬戸市国際センター 瀬戸市 |
朝日新聞社 中日新聞社 毎日新聞社 読売新聞社 中部経済新聞社 とうめい新聞 グリーンシティケーブルテレビ |
海上の森の会 山口連区自治会 山口地域まちづくり協議会 「愛・地球博」市民プロジェクト 2006実行委員会 |
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6 | ・・・ | 市民大交流フェスタ | 2005年日本国際博覧会協会 | 愛知県 名古屋市 |
・・・ | |
9 | 閉幕1周年 | 大津通 ストリートフェスタ |
2005年日本国際博覧会協会 |
名古屋市 | ・・・ | |
メ〜テレ | 2005年日本国際博覧会協会 名古屋市 朝日新聞社 |
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ながくて灯路まつり | 長久手町観光交流推進会議 | 2005年日本国際博覧会協会 愛知県 長久手温泉 愛知高速交通 トヨタ博物館 名都美術館 中日新聞長久手販売展G アピタ長久手店 ほか |
・・・ | |||
07 | 3 | 開幕2周年 | ウオークラリー | 中部日本放送 中日新聞社 |
愛知県 地球産業文化研究所 愛知県都市整備協会 愛・地球博ボランティアセンター |
キリックスグループ シャチハタ 三井住友海上火災 愛知高速交通 愛知環状鉄道 名古屋市交通局 |
8 | ・・・ | 市民大交流フェスタ | 地球産業文化研究所 | 中日新聞社 NHK名古屋放送局 中部日本放送 東海テレビ放送 メ〜テレ 中京テレビ放送 テレビ愛知 |
・・・ | |
9 | 閉幕2周年 | ながくて灯路まつり | 長久手町観光交流推進会議 | 長久手町 長久手温泉 愛知高速交通 トヨタ博物館 名都美術館 中日新聞長久手販売展G アピタ長久手店 ほか |
・・・ | |
夜まつり | 愛知県 愛知県都市整備協会 |
長久手町 長久手町観光交流推進会議 長久手商工会 愛知公園協会 愛知高速交通 長久手温泉 |
A・O・F 伊藤忠商事 泉陽興行 万代 モスフードサービス |
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08 | 3 | 開幕3周年 | エコパーク2008 | 東海テレビ放送 地球産業文化研究所 |
愛知県 名古屋市 COP10誘致委員会 中日新聞社 ほか1 |
ニッショー 福田三商 三洋ホームズ ほか |
春まつり | 愛知県 愛知県都市整備協会 |
地球産業文化研究所 中日新聞社 |
愛知県公園協会 長久手町商工会 A・O・F ほか7社 |
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9 | 閉幕3周年 | 秋まつり | 愛知県 愛知県都市整備協会 |
地球産業文化研究所 長久手町 長久手町観光交流推進会議 |
A・O・F 泉陽興行 モスフードサービス ほか4社 |
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09 | 3 | 開幕記念 | 春まつり | 愛知県 愛知県都市整備協会 |
地球産業文化研究所 | 愛知高速鉄道 泉陽興行 |
7 | 開幕4周年 | 二大万博と 日本の博覧会展 |
地球産業文化研究所 | ・・・ | 日本万国博覧会記念機構 長久手町 |
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9 | 閉幕記念 | 秋まつり | 愛知県 愛知県都市整備協会 |
地球産業文化研究所 長久手町 |
泉陽興行 愛知高速鉄道 EXPOマネーセンター |
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10 | 2 | 開幕5周年 | 想い出の 愛・地球博展 |
愛知県 愛知県都市整備協会 |
地球産業文化研究所 | |
3 | 開幕5周年 | 春まつり | 愛知県 愛知県都市整備協会 |
瀬戸市 長久手町 地球産業文化研究所 |
泉陽興行 愛知高速鉄道 EXPOマネーセンター |
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開幕5周年 記念イベント |
瀬戸市 瀬戸市まるっとミュージアム 瀬戸市観光協会 |
愛知県 長久手町 地球産業文化研究所 |
愛知工業大学 瀬戸信用金庫 |
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9 | 閉幕5周年記念 | こころに育む 愛・地球博フェア |
「とき」を祝うメモリー モリコロパークマネジメント分科会 |
・・・・・・・ | せとしん地域振興協力基金 | |
11 | 3 | 被災地支援イベント (開幕記念) |
春まつり | 愛知県 愛知県都市整備協会 |
長久手町 地球産業文化研究所 |
瀬戸市 泉陽興行 愛知高速鉄道 日本ボーイスカウト愛知連盟 EXPOマネーセンター |
9 | 記念イベント | 秋まつり | 愛知県 | 愛知県都市整備協会 地球産業文化研究所 |
泉陽興行 愛知高速鉄道 愛知工業大学AIT鉄人P 若鯱会 東海エコフェスタ実行委員会あい 愛知県産業労働部新産業課 |
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